好きだと言ってくれるのに…ヤキモチ妬いちゃう



「ごめんねー、御崎さん退屈だよね、お待たせ」

琴菜は戻ってきて椅子に座る。

「一年生とかに手伝ってもらわないの?」

「間に合わなくなったら気づいた人が作ってくれるよ、最初はみんなでランニングから基礎練習をするからその間は私しかいないから作るよ~」

「琴菜マネ、絆創膏頂戴、あっ、ちわっす」

栞に頭を下げる。

一年部員がやってきた。

「はーい」

救急箱から絆創膏出すと琴菜が貼ってあげていた。

「これでいい?」

「ありがとう」

「今のって一年生じゃないの?」

「よく、わかるね、何でわかったの?」

「体操服を着てたから?色が学年で違うんでしょ」

「そう、違うのよく知ってるね」

「買いに行ったらお店の人が言ってたよ」

「そっかー」

「何で敬語じゃないの?」

「ん?そうだった?全然気にしてなかった」

アハハとまた笑顔で答えていた。

栞には信じられなかった。

慣れの問題ではないよね、えっと、この塚本さん?だっけ、後輩になめられてるのかな



部員が基礎練習が終わってテントに集まってきた。

「琴菜マネ、スプレー取って」

今度は二年生部員だった。

「ぶつかった?どこ?」

「ふくらはぎにシューして」

「はい、気を付けてよ」


「先輩、俺のほうが今日はタイムが良かったすよ」

「次は負けないし」

「次も勝ちます」

「いや、次は俺が先輩に勝つし」

なんでこんなに先輩と後輩が普通に話してるの?

前の学校では考えられないことばかり



琴菜は俊のところにタオルを持っていきドリンクを渡していた。

二人は楽しそうに話していた。

琴菜にタオルを返すと

「集合~」 

俊が声をかける。

「うぃーす」

テントにいた部員、ボールで遊んでいた部員、顔を洗いに行って帰ってきていた部員が集まる。

琴菜はみんなが琴菜に向かって投げるタオルを必死に取っていた。

お調子で投げつけて楽しんでいる子もいた。

「もう~」

琴菜はまた笑っていた。

「ねえ、塚本さん、部活楽しい?」

タオルをたたみながらカゴに入れていた琴菜に聞いた。

「うん、楽しいよ!」

また笑顔だった。

「あたし、親に何も言ってきてないから今日はもう帰るね」

「あっ、ごめんね、そうだよね、じゃあまた明日ね」

琴菜はブンブンと大きく手を振る。

なんか面白い子だな、子供みたい、でもあの子の笑顔はいいな

栞も一人で帰りながら微笑んでいた。