「今日はお父さんとお母さん見にきてくれてたね、俊」
「母さんは来るの知ってたけど父さんは昨日聞いた、試合終わってそのまま母さんは仕事に、父さんは単身赴任先へ帰ったぜ」
「そんな、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にみたいな言い方するなよ(笑)つぼるし」
「そっか?だって栞マネは知らないから」
「ありがとう」
「栞マネも、もうなんとなくみんなが俊についていくのがわかるだろ?」
「まあ、前の学校のキャプテンよりはましね(笑)、自分たちで選んだの?」
「いや、先生と先輩だよ」
「ここの、サッカー部みんな仲がよくてびっくりした、みんな後輩にも優しいし、先輩って恐いとか、こきつかうイメージあったし、実際前はそうだったし……」
「それは、俊の考えだよ」
大人しかった淳基が話し始めた。
「入部した時の三年生は厳しかった……三年生は人数が多くてグループに分かれていたんだよ
やっぱりレギュラーは威張ってて二年生にも当たりは強かったから二年生が次々に辞めていき7人に減ったんだよ
当然三年生が引退したら一年生のレギュラーは当然だよな、三年生最後の大会の後で俺達は誰がレギュラーになっても文句は言わない!二年生と仲良くしないとチームは出来ないって」
「そうそう、なのに最初、俊はレギュラー入れなかったんだぜ」
「えっ!」
「本当よ、栞ちゃん(笑)」
「うるさいよ、みんな」
俊は真っ赤になっていた。
「でも、俺らも8人だから一年生とは仲良くしなきゃ」
「それで仲がいいんだ」
「威張る奴は淳基がこんこんと部の今の在り方を説明して納得をさす(笑)」
「そう、頭のいいやつの説得は聞くな」
「俺ばかり押し付けて俺、一年生に嫌われてないかな?」
「一年生もわかってるだろ、このキャプテンにこの副キャプテンが必要ってことは」
「俺のキャプテンの役目っていったい何だ?」
「何だろうな」
「琴菜マネがいてくれることかな、友達に女子マネをうらやましがられる」
「それ、俺も他の学校の奴が言ってた、可愛いマネージャーいていいなって」
「琴菜は彼氏がいるって友達とかにちゃんと言っとけよな!俺のもんだし」
ブスッとすねる俊
まあまあ、と琴菜がなだめる。
「料理は琴菜ちゃんが作るの?」
「俊のお母さんが少し作ってくれてて、後は俊と二人で作るよ」
「キャプテンは料理するんだ、琴菜ちゃんに頼ってばっかだと思ってた」
「母さんが夜勤があるから自分でもするよ、琴菜にばっかりは悪いし」
「栞マネ、ほんとはな、琴菜マネに包丁でケガしてほしくないから覚えたらしい」
部員にバラされた。
みんなそんなことまで知ってるんだ。



