散りゆく花泥棒と夜明けを待つ花嫁

「一緒に寝ても、何も起きないことは分かる」
「そうだね。何も起きないね。私たちは。じゃあ一緒に眠ってもいいんじゃないの」
 クスクス笑うと、お皿に残った生クリームを丁寧にフォークで集め出した。
「……未成年だから駄目ってことじゃないよな」
「うん」
「俺が二十歳でも、駄目だったろ」
「うん」
「……ちーちゃん」
 テーブルにフォークを落とすと、カランカランと音を立てた。
「結婚しないでよ」
「……うん」
「結婚、だめだよ」
「うん」
「結婚、不幸にしかならねえって」
「……どうだろ」
 携帯の画面を見た。
 私の旦那さまになる人が微笑んでいた。
「うちの親が喋ったの?」
 省吾は首を振った。
「誰が省吾に言ったの?」
 テーブルの上のフォークをツンツン触って、面倒くさそうに聞くと、省吾は目を閉じて苦し気に言った。
「花屋のおじちゃんが……教えてくれた」
「そっか」
 そっか。
 そうなんだ。
 腑に落ちなかった色々なものが結ばれていく。そういうことか。
「全部知っちゃったんだね」