小太郎は悩んでいる。原因はセーラの言葉だ。

―コタは真紅のことが大好きよねぇほんとに―

小太郎は悩んでいた。僕は果たして、真紅のことが好きなのか、と。

我ながら、おかしな悩みだとは思う。好きなのかどうかなんで、本人が1番よくわかっているはずだろう。セーラに言われて初めてどうなのだろうと考えているようじゃ、とても好きであるとは言えないのではないか。

しかし言われてみれば小太郎は真紅のことが好きだ。それには尊敬と、畏敬とがごちゃ混ぜになりつつも確かにコイゴコロが含まれている気がする。幼いながらも小太郎は真紅のことを慕い、共に行動することに喜びを感じ、笑顔にドキッとし、大人な表情や姿にまたまたドキッとする。真紅は6歳の差があるのに、それを感じさせない態度でいつも小太郎を同等と扱ってくれる。それもコイゴコロを抱いてしまう原因なのかもしれない。