指輪をもらうなんて考えもしなかった。


きっと、結婚の意味もよくわかってないんだろうけど…


それでも…一生懸命考えてくれたその気持ちが嬉し過ぎて、私、涙が溢れて止まらないよ。


『あずさ、泣かないで。ずっと元気でいて下さい。僕はもっとあずさといたいです。あずさのおかげで、僕は人間さんの心に近づけています。もっといろいろ教えて下さい。本当にあずさは僕の大切な人です』


愛してるとか、好きだとか…


ましてやキスしたりとか…


そういう愛情ではないけど、ケントは私を誰よりも大切に思ってくれてる。


それが、どうしようもなく嬉しかった。


私は、こんなおばあちゃんになっても、まだずっとケントが好き。


愛してる…


ごめんね、こんなにも年齢を重ねてしまって。


だけど、ケントを好きな気持ちは、若い頃よりも、もっともっと増え続けてるんだよ。


ケントといつまで一緒にいられるのか…


考えるだけで怖くなる。


何か…泣けてきた…


年のせいかな。