ケントが後ろから抱きしめてくれたの。


うわ…な、何!?


これって恋人同士がやることだよね。


私、今、ケントに抱きしめられてる。


何か…すごく照れる、ドキドキしてるよ、ものすごく。


「こんなことどこで覚えたんだ~!」って言いたくなったけど…


でもきっと、眠り続けてる間にいろいろ成長したんだよね。


すごい能力だよ。


ドラキュラ恐るべし!だね。


だったら5回生まれ変わったケントは、人間よりももっと人間らしい気持ちを持ってるのかも。


3回目以降は、私のせいで無いんだけど…


本当にごめん。


抱きしめたまま、まだケントは私を離さない。


後ろからムギュって、すごく嬉しいけど…


お願いだから、他の女の子にはしないでね。


絶対、ヤキモチやいちゃうから。


ケントの体…本当に温かいよ。


ずっと…こうしていたいな。


幸せな瞬間なのに、ふと思った。


ケントは歳を取らない。


なのに、私はどんどん歳を重ねていくって。


そう、私は確実におばさん…そして、おばあさんになっていくんだ。


ケントはそんな私を見てどう思うんだろう?


怖いな…やっぱり。


ううん、今はこのケントといられる現実を楽しみたい。


だから、そのことは…一旦、忘れよう。


こんな風にケントといられる毎日は、私を輝かせてくれる大切な宝物だから。