『ちょ、ちょっと待って!待ちなさいよ!』


誰だかわからないその人の腕に、私は思いっきりしがみついてやった。


『離して下さい』


喋った!!


恐ろしい程にイケボ。


しかも、冷静。


『ひ、人の首に噛み付いておいて、離して下さいはないでしょ!』


『…すみません』


あ、謝った?


す、素直。


『あなたは…誰?何で私を噛んだの?』


私は、諭すように優しく聞いた。


『僕は…』


しばらくの沈黙。


じーっと、その男性の顔を見る。


吸い込まれそうに綺麗なブルーの瞳。


目鼻立ちがハッキリしてて…


髪は金髪に近い茶色、私よりツヤツヤだし。


くちびるは私の血に染まってて、何だかすごくセクシー。


この人、外国人みたいなのに日本語喋ってる?


本当に…いったい誰なの?


『…ドラキュラです』


えっ?


『ド、ド、ドラキュラ?!』