その頃、聖楓高校では……。

「ハァッハァッ…だめ、落ち着いて、あたし。
ここなら…見つからない。」

木崎絵梨奈は、教室のロッカーの中に隠れていた。

「絵梨奈…絵梨奈…っっ。」

誰かに小声で呼ばれて口を抑えた。

「居るんだろ?俺だよ、新太。
大丈夫…教室の鍵は閉めたから。」

そっと音を立てないように開けると、
新太が真面目な顔をしてシーっと指を口に添えた。

「何でアンタがここにいるの?」

「放課後、祐介の様子がおかしいからずっとつけてたんだ。そしたら学校に戻って行ったから…」

カツン…っ、カツン…っっ!!

金属音が廊下に響いている。

新太と絵梨奈はしゃがみこみ、
息を潜めた…。

鍵の音が聞こえ、いとも簡単に怖い顔をした祐介が教室に入り、また鍵をかけた。

「絵梨奈…お前が犯人だろ?」