先月の自殺の件があった為、ドアには立ち入り禁止の張り紙がしてあった。

屋上に足を踏み入れると、閑散としていて飛び降りたのが何処かわからない。俺はひとまず、屋上の端から端まで歩き出すと、奥の方で匂いがした。

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女の子の涙の匂い。

遺書を書いた真新しい紙のインクの匂い。

ポケットにそれを入れ、お腹を抑えている。

「サヨナラ…」

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その瞬間、落ちてゆく感覚に俺は目眩がした。

「あっぶね…」

その場で足がすくんでしまい、自分も落ちたかと思った。

「青山、大丈夫か?」

「えぇ…。飛び降りたのは、ここです。」

難波さんと下をそっと見下ろすと、近くに花束が添えられていた。

「下にも行ってみましょう。」