「ここや。ほな、後はよろしく。」

烏丸の差す方向には確かに縄のような引っ掻き傷があった。

俺はあと一歩近づくと、
荒波が防波堤とぶつかった瞬間に匂いが来た。

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防波堤の砂のザラザラした匂い。

指が摩擦で擦り傷をつくった僅かな血の匂い。

""わたし、何でここに?!""

""誰か……っっ!""

その瞬間、口の中に大量の海水が入ってくる。

ーーーーー

「っっ!ゴホッ!ゴホッゴホッ!」

自分が溺れてる感覚に陥って、思わず咳き込んだ。

「青山くん、大丈夫!?」

本田刑事が慌てて俺をその場から遠ざけてくれた。

「大丈夫です…すいません。」