悠斗が淡々と、あたしに囁くように話す。

「凛子もしっかり用心して。片づくまでは、なるべく此処には来ないほうがいいし、盛り場には近づかないで」

「悠斗もじゅうぶん気をつけて」

「ああ、ありがとう」

悠斗は言いながら、あたしの頭をポンポンと撫でた。

悠斗から微かに紫壇の香がする。

あたしの好きな悠斗の匂いだ。

「凛子。朝ごはんは、ありがとう。しっかり戴いて後片づけはしておくから」

「うん」

優しく微笑む悠斗の頬に薄くエクボが見えた。