ある日、親父が「悠斗とはどうなんでぇ?」と訊ねた。

「はあ?」

あたしがポカンとしていると、親父はさらに畳みかけて訊ねた。

「悠斗と一緒になる気はねぇか?」

「親父。悠斗は堅気だし、僧侶だぜ」

あたしが答えると、親父は解っていると不機嫌に答えた後、おもむろに腕組みをした。

「悠斗は頭もいいし、面倒見もいい。礼儀正しい上に、人を惹きつけるオーラもある。悠斗はトップに立つ器だ」

「親父!?」

「悠斗は高校も大学も射撃部だったろ。トロフィーいっぱい貰ってたよな。拳銃も問題ねえ、自分の身を自分で守れるだろ。それに、極道は明日の命の保証がねぇ稼業だ。畳の上どころか、まともに五体揃って死ねる保証もねぇ。悠斗なら、そんな儂らでも、経を上げて弔ってくれる……」