「ありがとう。早起き……眠れなかったのか?」

「ちょっと早く目覚めて……味噌汁、温めてくるよ」

あたしの顔から目を逸らさずに、あたしを見上げている悠斗の優しい瞳がキラキラしていて、眩しかった。

「凛子、良ければ一緒に食べないか」

あたしの背中に投げかけた悠斗の声に、「うん」と答えて厨房へ急いだ。

悠斗と朝ごはん、いつぶりだろう。

悠斗が組の盃を請けてからは、一緒に食べた記憶がなかった。

味噌汁を温め、おにぎりと卵焼きを小分けしながら目頭が熱くなった。

「いただきます」

悠斗は半分はだけたシャツを整えて、背筋を伸ばし合掌した。

先ず卵焼きを箸で摘まんだ。

あたしは卵を焦がさないように、火加減に気をつけながら、丁寧に作った。

悠斗に教えてもらった通り、作ったつもりだ。

悠斗の綺麗な箸運びにみとれてしまう。