明け方。
目が覚め、その後は寝つけずに、炊事場で味噌汁とおにぎり、卵焼きを作った。

悠斗がお腹をすかせて戻った時、自分の拙い料理でも、腹の足しくらいにはなるだろうと思った。

悠斗の帰りを待ちながら作ると、不慣れでも苦にはならなかった。

ガタンという音がしたのに気づいて、組の居間に出ると、悠斗が居間のソファーに凭れかかっていた。

「……悠斗」

ネクタイを緩め、シャツの身頃を半分開いてペットボトルの蓋を開けたまま。

無防備な姿だ。

声をかけずに、ぞっとしておいたほうがいいのだろうか。

「凛子か」

躊躇ったあたしの気配に気づいたのか、悠斗は姿勢を整えて、あたしの方を見た。

「心配かけてすまないな」

悠斗は言うと、ペットボトルの中身をぐいっと飲み干した。

「悠斗、お腹すいてない?」

「そうだな‥‥夕方軽く食べたきりだな」