「灯りの加減か? そういう特殊な(いれずみ)があるのは聞いていたが、見たのは初めてだ」

蜷川常務が俺のシャツを捲り、俺の背中に触れる感触が伝わってくる。

「ーー蛍光色の墨か」

「ブラックライトの灯りで見えるみたいで」

「みたいで……妙な言い方だな。自分で入れたんじゃないのか?」

「覚えていないんです。神社に預けられた時にはあったらしくて」

蜷川常務が電子煙草をふかした息が肌にあたり、くすぐったい。

「総長が神社に預けたと言っていたな。経緯は聞いていないが。……物心つく前のガキに、こんな墨ーー対の麒麟」

蜷川常務は言い終えて、シャツを元に戻した。

「総長が何でお前を拾って神社に預けたのかは知らないが、その墨は大事にしな」

俺の背中をポンと叩き「しっかり隠しときな」と、声を落とした。