悠斗が若頭を任じられて1ヶ月がアッという間に過ぎた。

いつもと変わらない朝が明ける。

悠斗は朗々と経を唱え、神社の仕事をてきぱきとこなしていく。

若頭就任後は、1日交代に行うことになったお稽古も毎回、若い女性でいっぱいだ。

悠斗は時々、時計を観て神社と組を1日に数回、行ったり来たりしている。

週2回の歌舞伎町通いは親父の命令で、悠斗がグループ全店のオーナーになったと聞いた。

あくまでも裏の話だ。

悠斗が表立ってオーナーと名乗ることはしない。

グループ全店の売り上げの1部が組のシノギになる。

悠斗がオーナーになって、売り上げが倍に伸びたという。

蜷川常務が悠斗にいったい何をしたんだと訊ねても、悠斗は何もしていませんと笑うばかりで答えないらしい。

あたしも気になって、悠斗にこっそり訊ねてみた。