悠斗と大岡が屋敷内に入った途端、固まったように敬礼していた組員たちが顔を上げた。

「はーーあ。窒息するかと思った」

「大岡顧問の迫力は半端ねえ」

「それより、悠斗さんだ。あの落ち着きはなんなんだ」

「俺はまだ体が震えてるぜ」

組員たちが口々に話す。

「お嬢はどう感じなすった?」

あたしに訊ねたのは、金守だ。

「大岡がもし刀を抜いていたら大岡は今頃、手首を押さえて唸っていたと思うぜ」

金守がヒイッと喉を鳴らした。

「コンマ数秒違っていたらと思うと、ゾッとする」

口にしながら、あたしは自分の声が震えているのに気づいた。

「お嬢。昨日の梁瀬隊長の話……あれは多少、話を盛っていると思っていましたが、マジの話だったんすね」

「そうだな」

あたしは今、どんな顔をしているんだろうと不安だった。