短大卒業式。

あたしは悠斗に着物と袴の着付けをしてもらって出席した。

悠斗は「馬子にも衣装だな。凛子、卒業祝いに何か欲しいものはあるか? 今すぐ答えなくていい。じっくり考えて」と言い、あたしを送り出した。

あたしは親父の言葉を思い出していた。

ーー悠斗と一緒になる気はねぇか?

悠斗は聞いているんだろうか? そう思うと胸の鼓動が高鳴り体が火照ってくる。

式の間中、悠斗の様々な姿を思い出していた。

学生服姿の悠斗、袈裟姿でお経をあげる悠斗、あたしの隣で勉強を教えてくれる悠斗、スーツ姿の悠斗。

あたしの知っている悠斗は、いつも颯爽としていて非の打ち所がない。

完璧で最高にカッコいい姿だ。

家に悠斗が来ると組の空気がピリッと引き締まった。

悠斗はあたしのこと、どう思っているのか? そう思うと僧侶と極道の娘、とても釣り合わない。