先輩ホストのアシスト、ヘルプをしているうちに人気上昇した。

大学卒業して間もなく、店のNo.1になった。

悠斗は月の売り上げの8割を週2出勤で稼ぐという。

自分自身は勤務中に、酒を1滴も飲まないらしい。

源氏名は「ヒカル」、それだけしか公表していない。

住所、本名、年齢など詳細は臥せているし、週2出勤するも、曜日はまばらだ。

あたしの親父は悠斗の動向を黙って観察していたようだ。

悠斗がNo.1になったことを知り、3年。

悠斗と夫婦など、あたしにとって降って沸いたような話だ。

「ちょっと待て。考えとけって何だよ」

「悠斗を跡目にしたいのは、儂の気持ちだ。だが、お前がいやなら無理強いはしねえ。お前の気持ち次第だ」

親父の顔にはありありと「頼むな」という願望が滲んでいる。

「返事は卒業式後まで待つ。ゆっくり考えくれ」

親父は立ち上がり、あたしの肩をポンポンと叩いた。