「それでさー、矢野がそこでこけてさー」
「ははっ!矢野は大丈夫だったのー?」

遠藤君と遠藤君の友達との会話が遠ざかっていく。

考えてみれば当たり前のことなのに、何故か私はがっかりしている。

遠藤君に期待してたの?
昨日はどうしたのって声をかけてほしかったの?
そんな都合のいいこと起きるはずない。

頭の中で呪いのように繰り返す。
そうでもしないと私が壊れそうだったから。

「おっはよー玲奈!」

登校してきた奏が私の背中をポンとたたく。

「お、おはよ!奏!」
「玲奈なんでそんなとこでボーッとしてるの?さ、教室行こ!」

何も知らない奏に腕をつかまれ、私たちは教室へと向かった。