私は醜いアヒルの子

「出してください!!警察呼びますよ!」
ピクリ、男の人の眉毛が反応する。

警察、がキーワードということは…ヤクザ?
もしヤクザだったら、私の臓器を売り飛ばすのかもしれない。

ゾッとする。
「け、警察に連絡されたくないなら降ろして下さい!」
でもここで怖気ずに言わなければ。
背中に冷や汗が流れる。
ゴクリと唾を飲み込み、相手の反応を伺う。

「確かに不味いな。俺がこの傷をつけたと思われる。」
え?
相手の視線の先には、
はだけたスカートによって見えた脚。
かすり傷から見るに堪えない痣まである、沢山傷ついた脚。

ヒュッ
私の喉が塞がる
今度は私が追い詰められる方になった。

これは母と妹によるものだった。これがバレてしまったら家の名誉が傷つけられてしまう。
そうなったら今よりも一層酷い扱いを受けることとなるだろう。

「……誰にやられた」
黙ってしまった私に問いかける男性。

ダメだ。

今日の私は少し可笑しい。

こんなに失敗した事は無かった。