私は醜いアヒルの子

「…あの…?」
自由な左手をヒラヒラ振ってみる
「…」
無反応。
1人でヒラヒラやっているこの行動が恥ずかしくなった。
どうすればいいんだ、この状況。
途方に暮れていると
「…お前、顔」
静かに頬に手が添えられた。
──────顔
私が最もコンプレックスとする場所

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈見られた?
顔の事を言われた瞬間、恥ずかしさと、怒りで顔が熱くなる
「いやっ!やめてくださいっ!」

右手は抑えられてるので左手だけで相手の胸板を押す
しかし相手の体はビクともしない。
当たり前だ。私より背丈も高い。何より女と男だ。
それに、スーツの上からでも触ってわかったほどの筋肉。
着痩せする体型なのかもしれない。

───────それでも
それでも私は抵抗を続けた。顔は絶対に見せられない。
嫌だ。嫌だ。見ないで。

見られたら、また──────

また、、

「落ち着け」
いつの間にか両手を捕えられていた。