私は醜いアヒルの子

頭の中の警報が大音量で鳴る。

これは、本能だ。

逃げなければ

分かっているのに、判っているはずなのに身体が動かない。

何の突拍子もなく、朝の車で登校している時のことを思い出す

……あの時、今日は何かありそうだ、と嫌な予感がした。
もし、これだったら。
この事を示していたのなら。


──────────捕まる……!

その時の車のスピードを考えれば、直ぐ思い留まっただろう。
だけどその時、逃げることしか考えていなかった。

此方をジッと見て何も発さない相手に気づかれないよう、そっと後ろのレバーに手を伸ばす

──────────