「…あの、この車何処に向かってるんですか?」
そう、残るのは行先への、疑問。
私を送るつもりなら意識を取り戻した今、家の場所を聞くはず。
それなのに聞かないという事は、意図的に何処かへ連れていくという事だ。
今の質問に対し、さっきの視線を向けるだけとは違い、
ゆっくりと此方に顔を向ける。
それだけの仕草が私にはスローモーションに見えた。
一瞬、目が光った気が気した。
一瞬、少し笑った気がした。
でもそれを確認する前に近くで雷が光りろ
逆光で男の人の顔が見えなった。
また、ドックンと胸が痛くなる
なんだ、これは。
怖い、怖い、
──────懐かしい
いや、怖い
──────────逃げろ
─────────早く
─────────────────逃げろ
━━━━━━ここで捕まったら一生逃げられない━━━━━


