重たい瞼を開けると
目の前には
暗いダークブラウンのショートマッシュパーマ
髪の下には、
少しつり上がった目に、スっと通った細い鼻筋
真っ白な程では無いが白い肌に、真っ赤な唇
とても綺麗な顔──
ずっと見ていると吸い込まれそうだ
そんな完璧に整えられた顔の1部、唇だけが動く
「…起きたか」
低い声と、その顔と真っ黒な瞳が"狼"を連想させた
黒いスーツを着ている。社会人なのだろうか
─────────………えっと……
その声に聞き惚れていた私は急いで思考を巡らせた
だけれど、まだ寝ぼけているらしい頭では不可能だった
まずは状況を確認しようと自分の体勢を確認する
しかし、それが仇となった
なぜなら、モフモフのタオルに包まれ
男の人に抱きかかえられているから
「!?!??」
私の頭は今は何の使い物にもならないらしい。
諦めてまた思考を停止させた。
1つ、分かったことといえば、ここは大層お金をかけた高級車の中だと言うことだ。


