──────────ゴーン ゴーン ゴーン……
「では、これで4限の授業を終わります。ありがとうございました。」
背筋を伸ばし、手は前に添えて、角度に気をつけながら礼をする。

やっとお昼か…
周りを見渡すと、もう大半の人が教室にいない。学食に行ったのだろう。
私はと言うと、朝自分で作ったお弁当を持って中庭に向かう。
この学校には何個もの中庭がある。
3、4個はあるんじゃないかな。どれも広いため公園みたいだ。
でも私が今向かっている中庭はその中に含まれていない。
秘密の中庭なのだ。と言っても敷地の端っこにあるから人が滅多に来ない、ってだけだけど。


ガサ────
「ふぅ、着いた」豊かな木々が生い茂っている中、ぽっかりと2人程座れるように空いている。
その周りには私がこっそり植えた花が色とりどりに咲いている。
それを見るとどうしても頬が緩んでしまう。
私が植えて育てているから母親になった気分だ。

やっぱりここに来ると落ち着くなあ。

無意識に肩の力が抜ける。大きく伸びをして広げたハンカチの上に座る。
ここに歩いて来るまで、しっとりと汗をかいてしまった。
木々があるせいで今は涼しいけれどまだ少し熱が残っている。