きみの知らないラブソング


階段を下りていき三年生のフロアに向かう。

廊下に来ただけで分かる。
一年生と比較して三年生の装飾はクオリティが高い。とても華やかな見た目になっていた。


「すごい・・・さすがだ」

思わず声を漏らす。
二年後に自分たちがこれを完成させられるとは到底思えなかった。
茉衣が装飾に見惚れていると、

「茉衣、アイスあっちだよ!」


広菜から声がかかる。何より食い気らしい。
多分それは茉衣も同じだが。


「うん!急ごう!」

またしても二人で廊下を走っていく。


三年二組は一番端の教室で販売を行っていた。
すでにそこには数十人が並んでいる。予想通り、今年はここが人気店となりそうだ。
茉衣たちも列の最後尾に並ぶ。暑い校内を走ったせいか、顔がほんの少し汗ばんだ。

教室からは何となく涼しげな空気が運ばれてきた。


「楽しみだね!」

広菜と顔を合わせて笑い合う。
まだ列に並んだだけなのに、既に楽しい。


待ち時間の間は写真を撮って楽しむ。


早くから並んだおかげもあり、十分程度待っただけで念願のアイスクリームを買うことができた。

先輩たちの手作りらしい。
何とも言えない甘さとミルク感がとても美味しくて、病み付きになりそうだった。