太陽が眩しい顔で笑っている。
「良い天気だねぇ」
広菜が清々しい表情で空を見る。
一筋の飛行機雲。
そこには突き抜けるような青空が広がっていた。
教室の窓から思い切り体を伸ばすと、校門前に並ぶ木々の間を縫って快い風が吹き付けてくる。
今日は文化祭だ。
朝から校内が何となく騒がしい気がする。
販売担当のクラスメイトたちは朝から大忙しで準備をしているようだった。が、買い出し担当の茉衣に任された仕事はない。
今日一日中、校内を見て回れることになっているのだ。
それは教室の装飾を担当していた広菜も同じ。
二人で回る約束を交わしている。
女子高生らしい行事は今日が初めてだ。
考えるだけでうきうきする。
体育館で開会式を終えたあと、教室内の最終点検をする。
売り物の準備もバッチリだ。
教室でのHRも終わった。
いつもなら落ち着いている担任の声も、今日は心なしか明るく聞こえた。
あとは開始時刻になるのを待つだけ。
そして、時計が午前10時を回り。
校内放送がかかった。
ついに、待ち遠しかった文化祭が始まる。
「茉衣、行こっ!」
広菜が茉衣の手を取る。共に駆け出した。
噂によると、毎年人気店は開始直後に行列が出来てしまうらしい。今年は三年二組の先輩たちが出店するアイスクリーム屋さんが人気になると予想されていた。
