「幸子さん、私お二人のなりそめ、聞いています、陽さんが幸子にプロポーズしたときのお話」
愛の心の中に幸せな気持ちが泉のようにわき出てくるのが幸子に伝わってくる。
「おおきい、あ婆さん、こんにちは」
二人の男の子が同時に挨拶するが愛のそばで怖がりながら愛の足にしゃがみつく小さな女の子はどうやら怖がっているみたいだ、幸子はそれを見ると微笑みながら。
「おや、こんにちは」
「うわ~ん」
突然、泣き出すと「お前、ばかばれるだろ」 海人が三葉を叱る。
「ばあちゃんごめん」
幸子は拓也とひ孫の言葉に自分の身に何があったか悟る。
ひ孫たちは、幸子と陽が他界したことを気づかないようにしようとしてたらしいが、三葉が嘘をつくのを怖がり、泣き出してしまった。
「この子達、お前によくにてるね」
幸子がいっているのは孫の拓也が嘘をつくのがへただからだ。
「幸子さん、それより映画見ないかい、拓也、愛さん、拓海、海人、三葉ちゃん君たちも」
「いいですね、陽さん」
「海人、三葉、大きいおじいさんがおばあさんにプロポーズしたときの映画らしいよ」
「うん」
三葉が拓海に返事をする。
映画に入りスクリーンにマイフェアレディーが写し出されると、幸子に昔の思い出がよみがえってくる。 1976年12月佐藤陽は映画館で恋人の幸子と待ち合わせをしていた。
陽は寒空の中、コートの内ポケットに初ボーナスで買った婚約指輪を忍ばせ映画を見た後、予約したフランス料理店マリアージュでプロポーズする事を考えていると緊張で来もが高ぶっり落ち着きを必死にこらえいた。
「陽さん、おまたせしました」
佐藤陽の目の前にはセシルカットに紺色のヘビーウェイトウールコートのファッションをした幸子が立っていた。
「かわいい」
心中で呟く
さらに緊張で心が高鳴る陽だが高鳴る気持ちを押さえる。
「幸子さん、寒いので中に入ろうか」
「うん、そうだね」
映画館の中に入りホットコーヒーを2つ買うと陽は幸子にコーヒーを一つ渡しす。
映画館の席に座りホットコーヒーを口に入れしばらくすると体が暖まってきたところで上映が始まる。
オープニングが始まるとミュージカルな音楽、踊り明かそうが流れ映画が始まる、170分ほどで終わる映画がはあっという間に終わり、二人は陽が予約した、ビストロマリアージュに行く。
「面白かったね、陽さん」
「そうだね、また見に行こう」
「うん」
しばらく、会話しながら歩くとビストロマリアージュにつく。