「やめて……!」
か細く怯えたような声が響く
僕の目の前には少し前まで純白のドレスのように真っ白だった服がまるで熟れた林檎のように紅くなってしまっている彼女が後ずさりしている。彼女はとても怯えているようだ。
「何をやめてほしいの?君はこんなに美しいのに」
そうだ。今の彼女はとても美しい。その、血の気の引いた青白い顔が。その、カタカタと震える華奢な身体が。誰よりも美しいというのになぜこんなにも怯えているのだろう。
「本当にやめて!殺さないで!まだ死にたくない!」
あぁ、そんなこと言わないでくれ。君の美しさが台無しになってしまう
「お願いだから喋らないでくれ。君を美しいまま愛したいんだ」
そう言って僕は近づく。ゆっくり、ゆっくり。そして、彼女の首に銀色に光るものを宛てがいそのまま真横に引いた
「君はいまこの世で一番美しいだろう。だってこんなにも紅く、そして白いのだから」