「一旦佐々木に体をお返しするね。しばらく説明するから、逢沢さんつまんないかもだけどごめんね」
「ううん、大丈夫だよ」
にこやかだった夏目くんの表情が、ふっと固くなり、しばらく何かを考えたような顔をした後、元に戻ったであろう佐々木くんの口から大きなため息が漏れた。
「あのなぁ、入る時は、言えよ!」
目線は私から少しずれている所に合わせられていて、そこに夏目くんがいるのだとわかる。
恐らく説明が行われているのだろう、佐々木くんはしばらく相槌を打ちながら話を聞いたあと、「わかった」と呟いた。
ここでようやく、私と視線が合う。
「逢沢、一旦学校外に出るぞ」
「へ?え、出ちゃうの?今夜プールに行くならここに居て良いんじゃない?」
今夜プールに忍び込むってことだし、私はお母さんに遅く帰ることを連絡したから、それまでここに居るものだと思っていた。
