ふうこさんと見えない夏目くん

「わかった、聞くだけ聞いてみるよ」

「ありがとう逢沢さん!」

「今日でいいの?」

「まあ、今日で大丈夫なら」


鞄から携帯を出すと、嬉しそうに夏目くんの顔が嬉しそうに歪む。

……とりあえず、お母さんに電話してみよう。


「あ、もしもしお母さん」


じっと見られてる中、通話するのはちょっと緊張した。


「あのさ、さやちんのお家でご飯食べて行かないかって言われてて。うん、そう、だから帰りが遅くなるんだけど、」


突然の話だったが、お母さんは何なく『分かったわ~』と呑気な返事をくれたので、そのまま通話を切る。

嘘をついたのは後ろめたかったが、それ以上に私も少し楽しみだった。




「OKだったんだね?」

「うん、遅くなりすぎなければ大丈夫だと思うよ」

「よかった、ありがとう。あとは佐々木だなー!」