ふうこさんと見えない夏目くん


「夏目くん?」

「よくわかるね逢沢さん」


2回目の夏目くんだけど、すぐに気づけるのは多分、佐々木くんと全く違うタイプだから。


「俺が話した方が早いかなと思って。あと逢沢さんともお話したいし」


さっきまでのムッとした顔とは違い、佐々木くんの体で笑みを浮かべる夏目くん。

……楽しそう。


「私もこの方がいいな、夏目くんの考えてることわかりやすいから」

「よかった、じゃあさっそく本題」


わざとらしく咳払いをして、格好つける夏目くん。
佐々木くんの体でそんなことをする夏目くんがおかしくって、顔がにやけるのを堪えるので精一杯。


「夜中、プールに忍び込もう」

「えっ」


学生生活をエンジョイってもっとこう、放課後にスタバとか、放課後に語り合いとか、放課後にショッピングとか、そんなことを想像してたのに。

にやけていた顔が一瞬で真顔になった。


「信じられない、って顔してるね?」


そりゃあ、そうでしょうよ。