死んだ隣のクラスの子


夏休みが明けて最初の集会は、体育館で行われずに、自分の机に座った状態で始まった。

あれこれと長い挨拶が続くのかと思いうんざりしていると、教頭先生の口から告げられたのは


「2年2組の夏目 太郎くんが、交通事故で亡くなりました」


という衝撃的な言葉だった。


隣のクラスからは悲鳴にも近い声が上がり、私のクラスの生徒も息を飲んで固まる人が多数。
すぐに誰かのすすり泣く声が聞こえ始める。

放送で全クラスに響く教頭先生の声は、気持ちの整理が追いつかない生徒達を置いて話を進めていく。
黙祷を捧げましょう、とのことで、

『黙祷』

その言葉で、学校に静寂が訪れた。



びっくりはしたけれど悲しくならなかったのは、私とその夏目 太郎くんが知り合いですらもなかったからだろう。