ノンフィクションにご注意を

なんで戻っちゃうの?と許斐君の部屋を覗き込むと、何か差し出された。


彼の右手に握られていたのは、市販のジップロックタイプの袋に入ったチョコレート。


どうやら未開封らしいが、コレを……私に?


「オレ男だけど甘いの、時々食べるんだよ。それ勉強時の糖分補給用に常備してたやつ。未開封だし、やるよ」


「えっ、そんな悪いよ」


「いいから。それ食べて、残りの荷解き頑張って下さい」


そう言ってドアを閉めようとする許斐君を、慌てて制止した。


「ちょっ、待って!」


私がドアをガッと掴んだ為か、また驚いた様に私を見る許斐君。