「ち、ちょっと許斐君!どこ行くのっ!?」


アワアワ慌てている様子の溝渕をズルズル引っ張って、ひたすら足を進め続ける。


「許斐君……っ」


「………」


「あの、無言はやめて貰えます?せめて一言だけでもお返事願いたいのですがっ!!」


喚く溝渕を無視し続けて、たどり着いた先は教材室だった。


教材室…そこは芙美さんに初めて会った翌日、溝渕に呼び出されて2人で話し合った場所。


――――ガラッ


引き戸を開けると中にはあの日と同じくたくさんの教材が詰まっていて、誰もいなかった。


先に溝渕を入れ、後からオレも入る。