情けない寝グセ姿を映す鏡を睨みつけてると、許斐君がため息をついた。


「それはやめとけ。そこだけ前髪短くなったらおかしいだろう」


「分かってるけど……このままだと朝ご飯食べる時間なくなっちゃうし」


「ったく…ちょっと待ってろ」


「えっ?」


“待ってろって?”と聞き返すヒマも与えぬまま、洗面所を出て行く許斐君。


すぐに戻って来たと思ったら、「櫛貸せ」と言われた。


「櫛?ハイ……」


――――フワッ


「っ!?」


言われた通り櫛を渡すと、なんと私の目の前に立った許斐君はそのまま私の前髪をとかし始める。