「ぬぬぬ…自分の髪ながら手強いな……」


ピョコッと跳ねてる前髪に、櫛を押しつける。


そのままゆっくりゆっくり下にスライドさせて行ったが、櫛が前髪部分から離れた途端またピョコッと跳ねた。


「っあーーーーっ!!寝グセ直らなーーーい!!」


許斐家の洗面所に、私の怒りを含んだ叫び声が響いた。


現在私の前髪は右端の一部分だけが重力に逆らい、アルファベットのJみたいになっている状態。


それをさっきから直そうとしてるのに、我が髪ながら手強くて――――…全然直らない寝グセヤロー。

(↑ヤロー?)


「早く朝ご飯食べたいのに…」