「聞いた事ない言葉で歌を歌っててね、聞く話ではいつも足を海につけてるの!」

「それで?」

「でも、ふと目を離すと、いつのまにかいなくなってるんだって!」

「――…へぇ~」

「あ! 成也君信じてないでしょっ!!」

「信じてる、信じてる」


ぷーっと頬を膨らませて怒る女の子にケラケラと笑ってみせる。

腹の中では正反対の事を思っていたけど。


いやいや。信じるにも限度があるだろ。

逆にその情報だけで、なんで人魚って断定するんだ?

どんだけ、みんなメルヘンなんだよ。

それともあれか?
 
テスト漬けの日々に疲れて現実逃避か?


「で! 見たって友達が言ってたんだけど。歌ってる声もスゴイ綺麗だけど、それ以上に見た事もないくらい美女なんだって」