人魚姫の涙

「走ると転ぶぞ」

「大丈夫だもん!!」


同じ年とは思えない、その姿。

相当楽しみにしていたのか、朝からずっとこんな感じだ。

イタリアには、家で花火とかしないのか?




――…友香と別れてから、2週間が経った。

別れの理由を聞かれて、俺は正直に話した。

『好きな子ができた』って。


それを聞いて、友香は悲しそうに笑って。

『わかってたよ』

とだけ言った。


優しくて、元気で、誰よりも明るい友香。

こんな俺の事を、ずっと好きでいてくれた。

でも、だからこそ嘘をつきたくなかった。

偽りの関係でいる事こそが、友香を傷つける事だと思ったから。

それが俺の自己満足だとしても、だ。