人魚姫の涙

昔の俺のクサイ台詞に顔がどんどん熱くなるのが分かった。

そんな俺を見て、嬉しそうに紗羅は笑う。

そして、急に傘を飛び出して俺の目の前に立った。


暗闇でも分かる、まるでサファイアの様に曇りのない真っ青な瞳が、じっと俺を見つめている。

注がれるその視線に、釘付けになる。

すると、紗羅はニッコリと頬を上げて悪戯っ子みたいに笑った。


「ありがとう!!」






そう言った紗羅は世界中の誰よりも綺麗で、可愛くて、ずっと俺が守っていきたいって思ったんだ――。