人魚姫の涙

それから友香の提案で、近くのカフェに行く事になった。

向かい合って座る俺の顔を見て、楽しそうに今日あった出来事を話している。

その姿に、俺の事が大好きだって痛いほど伝わってくる。


しかし、その微笑みの向こうに紗羅の笑顔を重ねてしまう自分がいる。

紗羅と違う瞳の色に、違和感を感じてしまう。

違う香りに、違和感を感じてしまう。

その度に、早く紗羅に会いたいと思った。


時間が経つにつれて、俺の中で紗羅の存在が大きくなっていく。

自分でも驚くほど速いスピードで飲み込まれていく。


友香に紗羅の姿を重ねる自分は最低だと思う。

思い切って話せない自分の意気の無さに嫌気がさす。

作り笑いを浮かべる自分に吐き気がする。


「それでね、成也――」


俺の事を嫌いになってはくれないだろうか。

友香にそんな事を願う自分の浅ましさに、幻滅した――。