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「人魚姫とはどういう関係なんだよっ!」
「だから人魚姫じゃねーって! ただの幼馴染」
「あんな妖精みたいな幼馴染がいるなら紹介しろよな!!」
「なんで雅樹に紹介しなきゃいけねーんだよ。それに、俺も昨日18年ぶりに再会したんだって」
「なんだよ、そのドラマみたいな設定! おいしすぎるだろ!」
授業が始まっても、未だに質問攻めにしてくる雅樹に小声で言葉を返す。
未だに興奮状態の雅樹は、二次元の世界から抜け出しきれないのか紗羅の事を人魚姫だと信じて疑わない。
「18年ぶりってさ、何か離れる理由があったわけ?」
「あ~俺が4歳くらいの時にイタリアに引っ越した」
「イタリア! じゃぁ帰国子女なわけ!? 妖精ちゃんは!」
「まぁそうなるな」
「どこまでも羨ましい! なぁ、人魚姫は彼氏とかいんの?」
「知らねーよ」
「今もイタリアに住んでるのか?」
「ん~どうだろうな」
テンションの違う2人の質問に答える。
鼻息荒い雅樹とは正反対に、いつも冷静な和志。
だけど、二人に紗羅の事を聞かれても俺には答えようがない。
4歳までの紗羅しか知らないし、昨日再会したばかりでまともな会話もしてないからだ。



