訝し気に差し出されたソレを見下ろすと、案の定のものがそこにあった。
昨日人魚の落とし物だと言っていた、ソレ。
手の中でキラキラ光る半透明の、通称人魚のウロコ。
また二次元の世界に入っている。
呆れてその横を通り過ぎようとした時、今度は隣から大きな声が聞こえた。
「あ―っ! ソレ!!」
それまで静かにしていた紗羅が、急に驚くような大きな声で件のウロコを指さした。
もちろん、一同その声に驚いてビクリとその場で飛び跳ねた。
「私の! 拾ってくれたの!?」
「や、やっぱり…...人魚姫」
噛み合わない会話を無視して、雅樹の手からソレを取った紗羅。
光に透かして、よかった~っと嬉しそうにそれを抱きしめた。



