人魚姫の涙

そっと、その顔を覗き込む。

涙で濡れる頬を拭ってやれば、その瞳が俺を射抜いた。


「結ばれなくても、いいじゃん」

「え?」

「誰からも祝福されなくてもいい。それより、俺は紗羅といたい。それ以上の幸せなんて、この世にないんだ」


離れて痛い程分かった。

俺には紗羅が必要なんだ。

もう体の一部なんだ。

それを失ったら、俺は生きていけない。

悲しみも、苦しみも、絶望も、紗羅がいれば怖くない。

そして、幸せも、笑顔も、未来も、紗羅がいなければ成り立たない。


「ずっと、一緒にいよう。この先、ずっと、2人で」

「――っ」

「頼むから、黙って俺のモノになって」


涙で潤む真っ青な瞳を見つめながら、俺はキスをした。

懐かしい、愛する人の唇。

その瞬間、この4年で心に開いた大きな穴が一気に塞がった。