人魚姫の涙

だけど、ようやく現実を把握したのか、胸の中にいた紗羅がポツリと呟いた。


「夢じゃ……ない?」


涙声でそう言った紗羅を覗き込む。

すると、瞳に涙を溜めた紗羅が俺を見上げていた。

その姿に、俺も涙が込み上げてきた。

どれだけ、この時を夢見てきただろう。


「夢じゃない」

「本当に、成也なの……?」

「あぁ……会いたかった」


あの日と変わらない、真っ青な瞳に向かってそう言う。

愛おしさが増して、もう一度俺は自分の胸に紗羅を閉じ込めた。

折れてしまいそうなほど強く。

もう、どこにも行ってしまわない様に。