人魚姫の涙


「紗羅……」


きっと世界のどこかで、紗羅も同じ太陽を見ている。

もしかしたら、同じ夕日を見ているかもしれない。

近いようで遠い。


それがもどかしくて。

自分がちっぽけに見えて。

世界中の幸せな人達が、羨ましくて妬ましいんだ。


そんな想いで海に沈む夕日を、ただ1人見つめる。

そんな時――。


Don't forget me
You are just my life
It continues loving forever
Because you are in a dream――


微かに波の音にのって、女性の声がした。

綺麗で、どこまでも透き通る、切なげな声が。

その声を聞いた瞬間、俺の心臓は太鼓の様にドクッと跳ねた。


「この……声……歌――」


早歩きだった足が、無意識に駆けだす。

声のする方へ。

導かれる様に。