人魚姫の涙

今のオーストラリアは夏が終わり、夕方には肌寒くなる。

夏真っ盛りの時は人で溢れかえっているであろうビーチも、今は数えるほどしかいなかった。

太陽が沈むまではまだ時間があったので、俺はビーチの周りを歩く事にした。


スーツから動きやすい服に着替えて、ビーチ周辺を散歩する。

徐々に肌寒くなるのに、妙に太陽の光が強い。

サングラスをかけて、ゆっくりと当たりを見回しながら歩いた。


時々、ビーチ付近で店を出している人の話を聞く。

4年前に撮った紗羅の写真を見せる。

でも、だいたいは決まって同じ答えだ。

期待しない方が楽なんだろうけど、そんなの無理だ。


もしかしたら、この人は紗羅を知っているかもしれない。

そんな淡い期待ばかり持ってしまう。


首を横に振る人達と話しているうちに、太陽は海へと沈み始めた。

真っ赤な太陽が、エメラルドの海に沈む。

ビーチ沿いの堤防を歩きながら、それを眺めた。