「yes.Conclusion of the deal was carried out.It returns tomorrow」


電話口の上司に、仕事の報告をして電話を切る。

どこまでも広がる空を見上げれば、自然と溜息が漏れた。


「はぁ~終わった~」


大きく背伸びをしながら、達成感を噛み締める。

日本とは違った空。

日本の様に淡い青ではなく、絵具をのそのまま垂らしたような鮮やかな青。

こんな色の空を見上げて思い出すのは、いつも決まって同じ女性。

あのサファイアの瞳を思い出す。


「――…紗羅」


無意識に零れた言葉は、誰にも聞こえていないだろう。

何度も何度も、胸の中で響かせてきた名前だ。


TRRRR…。


ぼんやりと教会の前で空を見上げていた時、不意に携帯が鳴った。

その音で、ぼーっとしていた頭が現実へと引き戻される。