「こんな美人な幼馴染いたんだな、お前」
ようやく現実世界に戻ってきた和志が、いつもの様子でそう言葉を投げた。
「俺も昨日18年ぶりに会ったんだよ」
「18年ぶり!?」
目を見開いた和志にコクンと頷く。
ドラマチックだな~とぼやいているが、確かにと内心思う。
18年ぶりに再会した幼馴染がとてつもなく美人になっていて、一緒に住み始めるなんて、どこかの安っぽいドラマみたいだ。
昨日の経緯をざっくりと和志に話しながら、再び長い廊下を3人並んで歩いていく。
すると、再び見知った顔が現れて俺達の方に騒がしく駆け寄ってきた。
「成也~! 和志~! 今日の夜空いて...…る...…か……。へ?」
朝からデカイ声が聞こえてきたと思ったら、昨日の二次元男、雅樹が漫画の様な反応で固まった。
そして案の定、和志と同じように魔法にでもかかったように固まった次の瞬間、目を見開いて紗羅を指さした。
「え...…誰。あっ、あぁぁぁぁぁっ!」
「待て。黙れ」
「人魚姫ぇぇぇぇぇぇぇ!!」
俺の静止を無視して紗羅を指さしたままムンクの叫びの様な顔で叫ぶ、二次元男の頭を力いっぱい殴る。
ただでさえデカイ声なのに、更にデカくなった声が廊下中に響き渡った。



